これまでも、何度もやれゲーム脳だなんだと、ゲームがヒトに与える悪影響を述べられてきた記事はゴマンとありましたが、更に一歩踏み込んだ内容の記事が上がってきました。
今般WHOが正式に、日常生活に支障を与える程に中毒的にゲームをしている状態を疾病としてカテゴライズし、2018年半ばに出される病気の世界的な統一基準である国際疾病分類・ICD(The International Classification of Diseases)-11の草案に、精神病の一つとして盛り込むことが報じられたのです。
その昔、私がまだ会社員だった頃、出張先には必ずゲーム機(その頃はゲームボーイアドバンス・カラーの時代だったかな)を持参し、移動中にゲームをする姿を見たある男性社員は、「女の子がそんなことやっちゃダメだよ!」と全力で止めようとしてくれたこともあったのですが(爆)、いまや電車に乗れば老若男女、猫も杓子もスマホを覗き込んでおり、その中でも多くの人がゲームに没頭しているというのがあたりまえの風景になり、隔世の感があるなと感心してしまうのですが。
多くの人は単に時間つぶしとして、あるいは趣味の一部としてたしなんでいる程度だと思いますが、中には学校や仕事、家事や身の回りの事、時には食事をすることすら忘れてゲームに没頭し、社会復帰も難しいほどの状態になっている人がいる。確かにそこまでいけば疾病のひとつとしてカテゴライズされるのも頷けます。こちらの記事では、それに該当するのは全人口の1%、もしくはそれ以下なのでは、と言及されていました。
ただ、上記記事内にもあるように、Gaming Disorder が疾病として分類されるべきなのかどうかは非常に物議を醸す問題で、もう少し慎重に議論が尽くされた後に定義されるべきだったかもしれません。これを病気とすることに懐疑的な科学者はたくさんいますし、ゲーム業界関係者、特に株主からの反発は必至でしょう。
まぁね、確かに Gaming Disorder という名前だけを見れば過剰に反応したくなるのもわかるのですが、まだ世の中の大多数がゲームを手にしていなかった時代からプレイしている私に言わせれば、確かに中毒性は高いんですよ、ゲームってやつは。特に若年層には麻薬のように刺激的であることはゲーム業界も認めるところでしょう。そうであるからこそ、時に下品と思える程の、まだ社会性が十分身についていない子どもたちに親のカード番号を盗んでまで課金させようとし得るゲームデザインは慎まれるべきだろうし、業界として、業界を守るためにも一定の規定のようなものをきっちり作って欲しいなということは前々から感じています。
特にこれからVRの技術が進歩すれば、今まで以上に残虐性の高いゲームが子どもに与える影響について、いやもしかしたら子どもだけでなく大人ですら問題があるかもしれないですからね、その中身についてしっかり精査する必要はやっぱりあると思います。
また、消費者側も過剰に反応することは避けなければなりません。Gaming Disorder が本当に存在するとして、それに罹患している人数はごく少数、それほど頻発する病ではない。これが怖いからゲームは一切禁止!と子どもをしばりつけることは火に油を注ぐ行為にほかなりません。
そしてこれが正式に病気と認定されれば、有効な治療法の確立への道も拓けるだろうし、その治療に保険が効くということも今後ありえます。この Gaming Disorder はひきこもりなどと併発しやすいと素人目ながら感じますので、社会問題にもなっているひきこもりへの支援が具体化し、社会復帰への助けとつながるのであれば早すぎる定義も悪くないのかもしれんな、なんて感じました。
個人的には今後VRにしろARにしろ、ゲームがどんな風に発展していくのかは単純に楽しみですし、
「時に諦める勇気をもつ」
そのバランス感覚を見失わないようにしながら新たなサーヴィスを享受していきたいと思っています。
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