とにかく明るい他動詞

最近日本版も始まった、Britain's Got Talentに、日本のお笑い芸人のとにかくあかるい安村さんが出場され、SNSで話題にあがっています。

安村さんのこのネタ、久々に見たけどいつ見ても面白い~!大好きすぎる~!!!


で、やはり気になるのは、「安心してください、履いてますよ」をどのように表現しているか、ですよね?


で、早速動画を見てみましょう!


ほうほう、


Don't worry, I'm wearing!


と訳されていましたね(笑。


で、ここで気になったのが、女性審査員が声を揃えて "Paaaaaaaaants!!!!!!!" と付け足しているところ。


高校生の生徒が頭を悩ませる文法事項のひとつに、自動詞と他動詞というものがあります。自動詞とは、字面からもなんとなく想像できるように、自分だけで大丈夫な動詞、つまり目的語をとらない動詞です。それに対して他動詞は、他に頼らないといけない動詞、つまり目的語を必要とする動詞です。


動詞によってぱっきりわかれておいてくれたらまだしも、同じ動詞でも文脈によっては自動詞だったり他動詞だったりします。


代表的な例であるplay で意味の違いを見ていみると、



I play.  私はあそぶ(自動詞)

I play the guitar. 私はギターを弾く(他動詞)


のようになります。


wear にもどちらの意味もあって、自動詞だと「すり減る」とか「使用に耐える」などの意味になり、パンツを履く、という文だと他動詞なので、必ず目的語を必要とします。つまり、今回の Don't worry, I'm wearing. だと、ネイティブからすると、いやいや、そこに目的語いるやろ!となんともキモチワルい感じがしてしまうんだと思います。だから思わず "pants" とつぶやいている(というかしまいには叫んでいたけども)。


マクドナルドのCMでも、 ♪ I'm loving でとめるのではなく、 ♪ I'm loving it になっているように、他動詞にはどうしても目的語が欲しいもんなんだと思うんですよ。

ネイティブの感覚として、他動詞はその後ろに”穴”が見えていて、どうしてもそこになにか欲しくなるものなのだろうと思うのです。


じゃぁ今回も I'm wearing it にすればいいのかという話ですが、細かい話ながら pants は1枚でも複数形(ハサミ scissors などとおなじで)なので、代名詞にするなら I'm wearing them にしないといけなくなりますが、 them は it とちがって音的になんかちょっと重いよねぇ…。


ってなわけで、今回はきっと I'm wearing で正解だったんじゃないかなー(文法的にではなくお笑い的に)と思いつつ、安村さんはこのネタを作るにあたってネイティブチェックは受けたんですかね?どっかに後日談落ちてないかなー。


私もまたなにかの折にネイティブに違和感具合を聞いてみたいなぁと 思ったりしました。



0コメント

  • 1000 / 1000