留学生くん、帰国しました

去年の8月12日に来日して以来、この1年間なんやかんやと教室イベントを手伝ってくれていたドイツ人留学生くんが昨日、ドイツに向かって発ちました。

写真は関空連絡橋より、あまりに碧く美しかった空をパチリ。

彼との出会いはそもそも5年前、WYSという留学団体からの留学生を10ヶ月間受け入れるボランティアとして登録したことから始まりました。その時のあれこれは旧ブログにしたためていますので、その顛末に興味のある方はどうぞそちらから御覧ください。

そして4年前の6月、彼を見送る少し前に、大学生になったらかならず日本に戻ってくるからそのときはまたホームステイさせて欲しいということ、また他の留学生のホストはしないで欲しい事などをお願いされ(笑)、うちの子も、特に当時長男が彼以外の留学生を受け入れることに難色を示したこともあり、結果として約束通り他の留学生を受け入れることなく、去年の再来日となりました。


ただ、4年前にはまた必ずウチに戻ってきて、ウチから大学に通う!と言っていたのですが、大学で他の学生たちとも話すうちに、それでは4年前と同じ事で、自分にとって新たな経験にはならず、ウチにおんぶにだっこで1年間過ぎてしまう、それはそれでどうなのと悶々と考え続けた結果、奈良にはちょくちょく来られる距離の場所で一人暮らしをして大学に通う、という道を選びました。

なのでこの1年間は基本岐阜で一人暮らしをしていたのですが、そうやなー、去年の8月にきて9月の終わりまでいたでしょ、冬休みもわりといたよな、春休みは始まるの早くて2月ぐらいからウチにいたよな、GWも夏休みも結構うちにいたし、なんなら3連休になると帰ってきたりしてたから、多分1年の三分の一ぐらいは結局ウチにいたかな?


まぁそんなわけで、この1年間は当教室の各種イベントも積極的に手伝ってくれていた、という訳なんです。最後に手伝ってくれたイベントは、どうぶつ王国バスツアー。この日は実はまだ留学生くんは夏休みになっておらず、それも卒業前の最後のテストの前日で、これを落とすと夏休みが短縮されてしまうという非常に大切なテストだったのに、大丈夫!と快く手伝ってくれました。(いやそれというのもだいぶ前から日程は大丈夫か、テストはいつから?夏休みはいつから?といくら聞いてものれんに腕おしというかよくわからん、という返事しか返ってこなかったためにこうなったのだけれど)

なので今回の発表会で幕間に流すスライドショーにはどの生徒よりも多く登場していて、ある種留学生くんの思い出動画みたいになっている趣もありますのでご期待下さい(爆


今回の留学は大学生になっているので、前回のWYS経由の留学とは違い、飛行機の予約やホストスクールとのやりとりも基本的にすべて生徒個人が行うということだったようで、来日したのはいいけど在留証を発行するための書類を大学がなかなか出してくれず、結果携帯などの契約も出来なくてしょっぱなからいきなり不便だったり、寮ではインターネットはケーブルをつなげば使える!という事だったのに結局なぜか最後まで使えず(爆)、デジタルネイティブ世代の留学生君がインターネットを自由に使えない生活をまさかの異国で送るというこれまたなかなか不便な日々だったりと、なかなか大変だったと思いますが、毎回のテストも結構な好成績だったみたいで?また大学のテストには高校時代同様高桑姓を書くなどしていたようですし(笑)、私も完全に我が息子感覚で食べるものに困ってるんじゃないかなーとかなり心配で、たまに差し入れに簡単に食べられるものを送ったりと、一足先に息子が一人暮らしを始めたらこんな感じになるんだなぁという体験をさせてもらった1年間になりました。


そして私としては、前回の留学を終えた時に留学生くんが、家族だけでどこかいかにも日本の町!ってなとこに旅行に行きたかったというようなことを言っていたのが気になっていたので、今回は留学の最後に家族で広島&宮島への旅行も敢行、春には台湾にも行ったし、前回完遂できなかったミッションはこれでやり終えた!感でいっぱいなのですが。

留学生くんは留学生くんで、確認はしていませんが多分…前回の留学時に、ドイツ料理を一度作ってみてほしいなぁと私が言ってたんですが、多分材料が日本では揃わないとか(いやカルディで余裕でそろうと思うよ)、オーブンの種類がドイツとは違うとか(いや大丈夫でしょ)なんやかんや言うて結局一度も作ることなく終わってたんですよ。それが心残りだったのかどうかはわかりませんが、今回は簡単にドイツ料理が作れる魔法の粉(笑)をたくさん持ってきていて、この1年間、ほんとにいろんなものを作って振る舞ってくれました。私も4年前に比べるとレッスンのコマ数も増えて俄然忙しくなっていたので、これには本当に助けられました。

おかげでラザニアに関してはそんな便利な乾燥麺があるとは知らなかったので(カルディで買えます)いまではすっかり我が家のルーティンに仲間入りを果たしましたしね。


そして帰国1週間前ぐらいからはお互い前回の留学のことを走馬灯の様に思い出していた感じで、留学生君が言うには、最初我が家に到着したときに私が言った一言を今も忘れられないと。わたし、


”You mustn't do that"


と言ったらしいんですよね。というのも、新大阪に迎えにいって我が家の最寄り駅に到着するまでに電車の中で土足であがるのは日本はダメだよーという話はすでにしていて、留学前のオリエンテーションなんかもあるし、もう知ってる!なんていう話をしていたのに、上がり框に留学生君が足をのっけて靴紐を外していたので、おいおいおい、土足で上っちゃダメなとこには足をかけることもあかんのよーと注意したことは私も覚えていましたが、留学生くんは上記の通りしっかり一語一句覚えていると。

私はそこまでは覚えてないけど、わかってるーと言いながらすぐに止めないので、わかっとらんやないけぇ!とさらにツッコんだことを思い出しました。

それは実は、この mustn't という音によく似たドイツ語が、「~しなくてもいい」という意味にあたるため、これは非常にドイツ人がよくやらかすティピカルエラーで、私がいったことを「そこに足をかけなくてもいい」と言われたと思ったみたいで(爆)、だからこそ要領を得ずすぐに足をおろさなかったらしいんですよね。それがもうめっちゃ「やっちまったぁ!それもしょっぱなから!!!」と死ぬほど恥ずかしかったんだって。


わたしはわたしで初日のことはよく覚えていて、到着してお茶のんで一服して、家族のメンバーの紹介もして、さぁそろそろ荷解きをするといいよと二階の部屋に案内し、私は食器を片付けて、そうだ、朝から掃除機してないわ…と掃除機をかけ始めたら、矢のような勢いで留学生くんが二階から転がり落ちるように降りてきて、それ、できます!やります!やらせて!と鼻息あらく掃除機を指さしていて。


いやいや、いやいやいやいや、疲れてるよね?というか今はまず荷解きしたら?お手伝いはおいおいでいいから、と再度二階に追いやった後、主人と顔を見合わせてありゃ何だ!?と大ウケしたり。


また前回はよく日本のアニメを、今回はよくネットフリックスの英語ドラマを留学生くんと一緒に見たのですが、前回は最後時間が足りず、見ていたドラマの最終話だけを一緒に見られなかったよね、と言われてびっくりしたり(私はすっかり忘れてました。そういえばそのアニメのラストって覚えてない)、前回は帰る1週間前にはもうパッキングせなあかんでーと声をかけても、いやまだ帰らないから!と口をとがらせて全く着手しようとせず、前日にもまだほぼ全部出た状態で、おいおいおいおいこれでほんまにお前明日帰れるんか!?という状態だったのに今回はわりと早めに着手していて大人になったなぁと感心したり(これは逆に留学生くんはあまり覚えてなかったみたい)、色々あったけど、どれもこれも今となってはほんまいい思い出でしかないなぁと噛み締めたこの1週間。

最後の2日間は私が体調を崩してしまい、結局一緒にみていたネットフリックスのドラマはシーズン3と2を見て1を見ていない、という非常によくわからんことになってしまったのがこれまた心残りではあるのですが。


今度はいつ来るのかなぁ、前回みたいな明確な約束はなくて、でもぽんづにまた会わないといけないから!そんなに遠くはない将来に来ないと!と本人は言っていましたが、私からは是非禿げる前にまた日本においでと伝えると、ハゲない!へんなこと言わないで!とぷんぷん怒っていました。いやぁ、ハゲそうな髪質だと思うけど…(笑


もうね、なんていうか、いつもコレ欲しい人!っていうと絶対遠慮せずに欲しい!と手を挙げたり、ほんっと何につけても辛口なんだけど、おかげで気づけた事ってもう数え切れないほどいっぱいあるし。決してお世辞は言わないことがわかってるから留学生君の言うことはホント信頼出来ました。生まれた国や育った環境、慣れ親しんだ文化、年齢も性別もなにもかも違っても、これだけ近しい存在になれるということ。


やー、だめだな、うまく言葉にできないわ。

とにもかくにも彼の行く手に幸多かれと、日本のおかあさんは願っています。なので万感の思いをこめてこう送り出しました。


いってらっしゃい!



5コメント

  • 1000 / 1000

  • hiroko

    2017.09.03 12:37

    @mulberryこんな日本のお母さん、私がダビくんなら、旅立ちを祝福するようなこんなお天気にお別れしたら泣けちゃう
  • mulberry

    2017.09.03 12:10

    @hirokoな、なにが!?
  • hiroko

    2017.09.03 11:59

    きれいすぎて、泣ける